君に友だちはいらない

ビジネス書

【東京読書会書評】君に友だちはいらない

更新日:


著者:瀧本 哲史
京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。エンジェル投資家。東京大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科助手を経て、マッキンゼー&カンパニーで、おもにエレクトロニクス業界のコンサルティングに従事。内外の半導体、通信、エレクトロニクスメーカーの新規事業立ち上げ、投資プログラムの策定を行う。独立後は、「日本交通」の再建に携わり、エンジェル投資家として活動しながら、京都大学で教育、研究、産官学連携活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)。

友だちはいらないって…(寂しい)

ぼっち

なんとも挑戦的なタイトルのこの「君に友だちはいらない」ですが、何も嫌われ者になろうとか、敵を作る人間こそカッコイイ!とかそういう事を言っているのではありません。

FacebookやTwitterなどのSNSは、(〇〇離れとは言われつつも)多くの人がコミュニケーションツールとして使っていますが、著者の言う「いらない友だち」というのは、ただ単に惰性で付き合い、SNSに自らが投稿した「どこに行った」「何を食べた」などの記事に、記事を読みもせず惰性で「イイネ」を押すような、「吹けば飛ぶような希薄な人間関係の人」というものです。

そういう意味での、「君に友だちはいらない」というタイトルであるという事が読むと分かります。

なぜそんな事をわざわざ本を書いてまで訴えるのか?

グローバル資本主義の広がりにより、あらゆる商品、サービスのコモディティ化(※1)が進む中で、人材のコモディティ化も進んでいるという現実の中で、今までのように単純に会社に勤めているだけでは非常にリスクの高い人生を歩まざるを得ない。

だからこそ、同じ価値観、同じ目的を持ち、それぞれが責任感を持って物事を推進する、「本当の仲間」を作る事がこれからの時代で生き残るためには必要だといっているのです。

※1 コモディティ:もともと「日用品」を意味する言葉だが、経済学では「どのメーカーの製品を買っても大した差が無い、成熟した商品」の事を指す。

僕はメーカーに勤務しているのでよく分かりますが、「メイドインジャパン=高品質」というのはほぼ崩れかけた幻想です。逆に、「メイドインジャパン」を商品アピールの前面に押し出すメーカーは、他にウリが無いという事を宣伝しているようなものなのです。

コモディティ化した製品はその単価がドンドン下がります。

アベノミクス物価上昇を謳い、実際にモノの値段は若干上昇しましたが、それは単なる円安の影響でえり、決して製品やサービスの価値に対して、人々が「高くても買う!」という意識になった結果ではありません。

プレイヤーが多くなり、品質もほとんど変わらないのであれば、安く提供できるメーカーの製品が一番売れるのは当然なのです。

逆に、消費者に価値を提供できることが出来れば「高くても売れる」という事なので、稀にそういう製品が発表され、爆発的ヒットを飛ばすこともあります。

そして、このコモディティ化は人材にも波及してきており、それこそがブラック企業を生む元凶だと言っています。「これ!」と言った強みが無い均一化した人間は安い賃金で扱われるという事なのです。

著者は、この現状に警鐘を鳴らし、僕たちがどういう行動をとるべきか、どうやって、その「本当の仲間」を作れば良いのかという事をこの本で訴えているのです。

本当の仲間とはなんぞや

sevensamurai

著者は、「君に友だちはいらない」の中で、映画「七人の侍」を例としています。

七人の侍とは

1954年に公開された、「世界のクロサワ」こと黒澤明監督の代表作だ。舞台は戦国時代。盗賊と化した野武士集団の度重なる襲撃に怯えて暮らす百姓たちが、対抗手段として7人の侍を雇い入れる。性格も出自もさまざまな7人の侍たちが、「村を守る」という一つの目的のもと、村人ともに野武士たちに壮絶な戦いを挑むというストーリーだ。

七人の侍達は、「白い米の飯」という、命を懸けるには「たったそれだけ」の報酬で、村を守るために命を懸けて野武士に挑みます。

1人1人が「野武士を倒す」という大きな目的のために、決意し、自らの意思で主体的に戦いを挑む。

まさに、同じ目的に向かってそれぞれの責任で行動する「仲間」ではないでしょうか。

この仲間は、お互いを本当に信頼しているという点も「ただ電話帳に名前があるだけの友だち」とは大きく違います。

「君が言うならそうなんだろう」という人間関係

他の記事でも度々書いていますが、「人脈」とは、交換した名刺の数では無く、「君が言うならそうなんだろう。」と言ってくれる人の事です。

SNSで惰性でイイネを押してくれる人の事ではありません。

では、そういう人脈をはどうやったら出来るのでしょうか。

それは、「自分の持つスキルと相手が持つスキルがお互いに補完し合う事で新しい価値を生み出す事が出来るという信頼関係」から生まれると、本書を読んで僕は思いました。

そのためには、まずは相手を理解して、自分を理解してもらうことから始めなければいけません。

相互理解が本当の人脈を形成する重要なポイントになるのではないでしょうか。

そして、そういう人が集まることで、良いチームが出来上がるのだと思います。

この、「君に友だちはいらない」には、

良いチームとは

  1. 少人数である
  2. メンバーが互いに補完的なスキルを有する
  3. 共通の目的と達成に責任を持つ
  4. 問題解決のためのアプローチの方法を共有している
  5. メンバーの相互責任がある

と書かれています。

自分の人的ネットワークが自分を規定する。友人、仲間は選べ。

学校と会社そして仕事と無関係な趣味のサークルこそネットワークのハブである。

 

与える。そしてビジョンを語る

つなぐ

結果というものは、与え続ける事、与えた量によってその結果の継続性も大きさも変わってくると思っています。

君に友だちはいらないの中で、ある保険セールスマンのストーリーが取り上げられていました。

そのストーリーとは

彼は全くうだつの上がらない保険外交員で、あと一年同じような成績が続けば解雇されるというところまで追いつめられた。

その時に彼の取った行動は、売上を上げる事を棚上げし、数多くの経営者に会い、その人たちの話を聞くことだった。

経営者の言葉に、現状打破のカギがあると知ったからだ。

そして色々な経営者に会って話を聞くうちに、彼はあることに気付いた。

「この人の話と、あの人の話、繋げたら面白いかも?」

そして実際に彼らのマッチングをしてみると、新しいビジネスが立ち上がったり、既存のビジネスがさらに成長したりと、

その経営者たちが儲けだした。

すると、彼のおかげで儲かった経営者たちは、彼の売る保険に自ら契約を申し出たのだった。

というものです。

これが本質だと僕も思います。

あるコンサルタント会社は、そのホームページに自社のノウハウを余すことなく公開しています。

とてもためになる記事なので、閲覧数やシェアされる数も多く、様々なワードで検索結果上位に表示されています。

商売上がったりじゃないのか!?と思うじゃないですか。

確かに、何割かの人間はそのホームページに書いてある手法で自社や自分のビジネスを加速させます。無料で。

ですが、そのホームページを見て、実践した人の何割かは、

「言ってることは正しいしその通りにやってみたけど、上手くいかない。何が悪いのか分からない。」

となるでしょう。

この、出来た人、出来なかった人、どちらからもこのコンサル会社は恩恵を受ける事が出来るのです。

出来た人からの恩恵

このホームページのおかげでこんなに成功できた!みんなもここを参考にすると良いよ!

という無料のCMを行ってもらえる。しかも「成果を出した人」からの口コミなので通常のCMよりも効果が抜群に高い。

出来なかった人からの恩恵

もうお金を払ってでもやってください!御社と契約します!

という、営業不要での売上UPにつながる。

サイトが最高の営業マンになった。という効果。

これが、「与える」ということです。

与えるだけでは強いチームは出来ません。

強いチームをつくるためにはビジョンが必要です。

「最高のリーダーは何もしない」の書評にも書きましたが、やはりリーダーシップというものは強いチームを作るためには絶対に必要で、

そのリーダーシップを発揮するためには、ビジョンが頂点になくてはなりません。

君に友だちはいらないには

強いチームを作るには、冒険者となってビジョンとストーリーを語れ。

ビジョンを作るうえで最も大切なことは、「でかすぎる絵を描くこと」。

勇気を持って、ぶち上げろ

と書かれています。

与える事、ビジョンを語りリーダーシップを発揮する事。これが大事なのだと分かりました。

この本は、個人的にはとても良い本だと思います。

是非一度手に取ってみて下さい。

 

 

 

 

 

 

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まずは一歩踏み出しましょう。

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