今回のコラムは、読書会に参加してくれた女性が書いてくれました!
本人希望で名前等は出せませんが、素敵なコラムをありがとうございます!
同じような毎日に少し飽きてしまったり、うんざりしてしまったりした時はエッセイで他の人の人生を覗いてみませんか?
他の人はどんな生活をしてどんなことを考えているのでしょうか?
エッセイは共感したり、新鮮さに出会えたりするチャンスが詰まっています。
お気に入りの作家さんで選んでもいいですし、興味のあるテーマで選ぶのもいいでしょう。
読み終わった後は自分の日常にひそんでいる楽しさや面白さを発見するのが少し上手になっているかもしれません。
鋭い観察眼と生命の神秘が面白い川上未映子の「君は赤ちゃん」
芥川賞受賞の作者が妊娠の陽性反応が出てから赤ちゃんが1歳を迎えるまでを綴った「君は赤ちゃん」。
「ホルモンの奴隷」と化し、乱高下する身体や心が鋭い観察眼で綴られています。
妊娠や出産はとても目出度いことの筈だけれど、夫婦関係や仕事との両立、壮絶なつわりや出産、終わりのない育児は綺麗事だけではありません。
特に、産後クライシスは大きなテーマとなっています。
思わず息を詰めてしまうような痛々しい描写があるような一方で、赤ちゃんへの慈愛に満ちた視線に胸が痺れてしまいます。
妊娠出産育児を扱ったエッセイは数多くありますが、「君は赤ちゃん」は特に生々しさと体温が感じられます。
妊娠出産の経験がある人もない人も、赤ちゃんって神秘だな、赤ちゃんを抱っこしたいなと思える一冊です。
淡々とつづられる旅行記に引き込まれる森絵都の「屋久島ジュウソウ」
仕事仲間5人と挑戦する屋久縦走を淡々と綴った「屋久島ジュウソウ」。
最初はゆるゆる、和気藹々、のんびり楽しいグループ旅行というテーマで書こうとしていた作者。縦走の意味も分からず重装と勘違いしていたほど。
しかし、実際の屋久島登山はかなりハードな展開に。そんな非日常であっても考えることや会話することは仕事のことや食べ物のこと、トイレのことなど日常の続き。クライマックスは屋久杉でも登頂でもなく最終日のレンタカーのトラブルなのではないかとさえ思わせられます。
食べた物や持ち物などが淡々と細かく記録されていて、リアルに情景を思い浮かべることができ、自分も屋久島へ旅行に行っているかのような気分が味わえます。
作者の日常に魅せられるうちに西洋史の雑学も身につく藤本ひとみの「パンドラの娘」
西洋史への造詣が深い作家のエッセイなので読んでいるうちに西洋史の雑学が身についてしまいます。
それが、「パンドラの娘」
もちろんそれだけではありません。
禁断の女の本音や裏話も万歳です。
作者の結婚は世間一般的に見れば早いですが、その理由かはなり独特です。
そのほか、子どもの頃、友達の頭を斧でかち割ったなど、正式な騎士として認められているなどぶっ飛び過ぎたことまで書かれています。
そして、地味に驚かされるのは華麗な西洋史よりもむしろ作者の交流関係の広さ。
個性的な人に囲まれているから作者はこのような人となりになったのか、それとも作者の個性が華やかな交流関係を作るのか、いろいろと考えさせられます。
一人称が小生の、日常と妄想の境目に混乱してしまう乙一の「小生物語」
頭を空っぽにたいときにおすすめなのがこの「小生物語」。
とにかく脱力系のエッセイです。
一人称が小生で、日常のことを書いているのですが……とにかく嘘ばかり。
では嘘だろう、妄想だろうというつもりで読んでいるとたまに本当のことを書いているので混乱してきます。
そして、混乱を極めると頭が空っぽになるというシステムです。
さりげない嘘の混じった日常のふわふわ感を楽しんでいると急にホラーな展開になることもあるので要注意です。
エッセイでありながらショートショートを読破したような達成感まで得られるかもしれません。
前書きで「この本に時間とお金を割くのはやめたほうがよい」とまで書かれていますが、敢えて挑戦する価値は十分にある筈です。
美女と竹林に憧れを募らせながら妄想が現実を侵食してくる森見登美彦の「美女と竹林」
作家としての行き詰った森見氏が多角経営を夢見て、そのために美女と竹林を手に入れようした奮闘が綴られている「美女と竹林」。
一人称が森見氏、彼とエッセイでありながら謎の三人称が使われています。
友人と竹林整備に乗り出すもののジュラシックパーク並みに生い茂り、蚊の容赦ない攻撃にシティボーイの2人は大苦戦。
壮大な文章となかなか進展しない現実のギャップが見どころです。
そして、だんだんと妄想が幅を利かせてきますが、はたして大円満に到達することができるのでしょうか?
読めば美女と竹林の互換性を理解し、そして竹林の魅力に目覚めてしまうかもしれません。
まとめ
小説は作られた物語です。
ルポは現実だけです。
エッセイは作者にとっての現実が綴られています。
自分とは全く違う生活をしている人でも考えていることは結構共通点があったり、あるいはありふれた生活であっても着眼点が独特ではっとさされたりすることにたくさん出会えます。
エッセイは肩の力を少し抜いて、自分でなない人の目線になって世界を見てみる時間を与えてくれるでしょう。
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